飯倉熊野神社・参拝短編ストーリー

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青いサッカー御守

六月の飯倉は、夏の入口に立っていた。

日差しは強いのに、風にはまだ少しだけ春の名残がある。

「蒼井、東京タワーが入る」

チーコは飯倉熊野神社の鳥居脇から、道路の向こうを指さした。

「入る、じゃなくて、入れたいんだろう」

「そうとも言う」

「さっきから東京タワーばかり撮ってないか」

「だって、都会の神社って分かりやすいじゃない」

チーコはしゃがみ込み、鳥居の下から階段と社殿を狙った。

古い神社。

その向こうに現代の東京。

車の音が絶えない桜田通りから、ほんの数段の階段を上ると、そこには小さな鎮守がある。

シャッターを切る。

「やっぱり面白い」

「何が」

「距離」

「何との」

「昔と今」

蒼井は映像カメラを準備しながら言った。

「今日のテーマに使えるな」

「今日は八咫烏でしょ?」

「それと、導くということ」

飯倉熊野神社には、熊野信仰の神使、八咫烏にちなんだものが多い。

そして八咫烏といえば、日本のサッカー。

授与所にはサッカー御守もある。

「サッカー御守って、試合に勝つためのお守りなのかな」

チーコが聞いた。

「勝利祈願の意味はあるだろう」

「でも、サッカーって勝つだけじゃないよね」

「急に哲学的だな」

「私だって考えるの」

「知ってる」

「今、軽く流した?」