第二章:夏(六月下旬・千日詣りとほおずき市、熱気を包む風)
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さあ、チームケロの愛宕神社編は、さらに熱気を帯びる夏の章へと突入します。舞台は六月二十三日・二十四日の二日間だけ開催される、愛宕神社最大の神事【第二章:夏(六月下旬・千日詣りとほおずき市、熱気を包む風)】。
この日に参拝すれば「千日分」の功徳を授かるとされる特別な縁日。境内に設置された茅の輪、そして青葉の中に並ぶ色鮮やかなほおずきの露店に囲まれながら、仕事でのステップアップを誓い合う4人の「ガツンと響く、夏特有の熱い恋模様」を描きます。
第1章:千日の熱気と、青い杜の茅の輪
六月下旬の東京は、本格的な夏の到来を告げるジリジリとした太陽の光が、アスファルトを容赦なく灼いていた。しかし、ひとたび愛宕神社の「出世の石段」を登り切って山頂へと足を踏み入れれば、そこは都会の喧騒から隔絶された、深く瑞々しい青葉のドームに包まれていた。
梢のあちこちから湧き起こるセミの鳴き声が、境内に満ちる圧倒的な熱量をさらに増幅させている。この日は、愛宕神社最大の神事の一つである「千日詣り」。今日この日に参拝すれば、千日分もの出世と勝運の功徳を授かるとされる特別な二日間だ。
重要文化財である丹塗りの門の前には、青々とした茅(かや)で編まれた巨大な「茅の輪」が設置され、その周囲には、下町の夏の代名詞である「ほおずき市」の露店がずらりと並んでいた。職人たちが手塩にかけたほおずきの鉢からは、夏の強い南風を受けて涼やかな風鈴の音がチリン、チリンと境内に響き渡っている。
「ふはぁ……っ! 先輩、夏の愛宕山は、セミの声とほおずき市の熱気で、肌がビリビリするくらいパワーに満ちてますね! 門の前の茅の輪、すごく立派です!」
チーコは首から下げたミラーレスカメラを揺らしながら、お気に入りの薄手のサマーニットの袖で額の汗をぬぐい、太陽のように眩しい笑顔を咲かせた。
「浮かれるな、チーコ。汗でカメラを滑らせて落とすなよ。今日は千日詣りだ。作法通りに『水無月の〜』と心の中で神歌を唱えながら、左、右、左と八の字を描くように潜るんだ。これまで自分の中にあった表現の限界や迷いを、ここで全て祓うぞ」
前を歩く蒼井が、愛用のシネマカメラのバランスをジンバルで器用に保ちながら、少し低い、けれど確かな芯のある声で振り返った。三十歳手前の彼は、仕事の厳しさを知るからこそ、チーコのプロとしてのステップアップを誰よりも願っている。
「了解です! 限界突破、ですね!」
チーコは元気よく答えると、蒼井の一歩後ろを付いて丁寧に茅の輪を潜り抜けた。その瞬間、境内の奥からすうっと涼しい風が吹き抜け、青葉の匂いが鼻腔をくすぐる。
春の男坂での激しいぶつかり合いを経て、ビジネスパートナーという境界線はすでに、お互いの人生を高め合うための強固な信頼へと昇華しつつあった。
第2章:ほおずきの朱と、レンズ越しの覚醒
参拝を終え、ほおずきの露店が並ぶ広場へ進むと、チーコのまとう空気が劇的に一変した。
――カシャ、カシャ、カシャ……!
衣服が擦れる音すら置き去りにするような、圧倒的な集中力。ファインダーに瞳を押し当てた瞬間、彼女は真夏の猛暑さえも完全に味方につける、プロカメラマンの「ゾーン」へと突入していた。
青葉の隙間から差し込む強烈な木漏れ日、その光を浴びて宝石のように真っ赤に輝くほおずきの実。そして、災難を払い除けて勝利を呼び込むとされる、伝統の「天狗の団扇守(てんぐのうちわまもり)」。チーコは地を這うようなローアングルから、一切の妥協を排してダイヤルを回し、完璧な「勝負の絵」を切り取っていく。
蒼井はそのチーコの凜とした横顔をシネマカメラのレンズで捉えながら、自分の胸の奥の焔が激しく燃え上がるのを感じていた。カメラを構えている時の彼女は、息を呑むほどに美しく、圧倒的に格好いい。
「……ふぅ! 先輩、撮れました! ほおずきの朱色と団扇守のコントラスト、これ以上ないくらい強い絵になりました!」
撮影を終え、いつものほわんとした明るい女性に戻ったチーコが、液晶画面を覗かせてくる。
「ああ、文句なしに最高の仕上がりだ。……なぁ、チーコ。この千日詣りの功徳、俺は全部『お前と作る未来の成功』に賭ける。もう、ただの先輩後輩っていう生ぬるい境界線で満足するつもりはない。お前の生涯の勝負、俺が隣で全部勝たせてやる。だから、これからもずっと俺の隣でシャッターを切り続けろ」
「先輩……っ!」
火の神様の前で、蒼井からガツンと放たれた不意打ちの言葉。夏の熱さ以上に、胸の奥がカッと熱くなり、チーコの耳たぶはほおずきの実よりも鮮やかな赤に染まっていった。
第3章:才能のプロデューサーと、丸眼鏡の温度
その頃、山頂にある「児の水(ちごのみず)池」の木陰では、ヤヨイがベンチに腰掛け、手持ち扇風機を回しながら激しい呼吸を整えていた。
「はぁ……、さすがに夏の出世の石段は、大人の体力には堪えるわね……。でも、この青葉の中に並ぶ真っ赤なほおずきを見ていると、本当に身体の奥からエネルギーをもらえるわ」
柔らかいサマーワンピースの裾を少し揺らしながら、ヤヨイが丸眼鏡の位置を細い指先で直した。長い黒髪を涼しげなアップスタイルにした彼女のうなじには、うっすらと汗が光っている。
「ヤヨイさん、お疲れ様です。千日詣りの歴史と、この愛宕神社が印刷・コンピュータ関係の守護神でもあるというデータを、SNSのコラム用にノートに補足しておきました。……それと、これをどうぞ」
二十六歳の佐久間学は、黒髪短髪の落ち着いた佇まいで、冷たいペットボトルをヤヨイの首元にそっと当てて冷やしながら、もう片方の手で、授与されたばかりの力強い『勝運守』をヤヨイの手のひらにガツンと手渡した。
「ひゃっ!? つめた……っ。あ、佐久間君、これってお守り……?」
「はい。ヤヨイさんの言葉の持つ力を、僕はもっと世界中に轟かせたいんです。ヤヨイさんの才能の『一番のプロデューサー』になる覚悟は、もう春に男坂を登った時に決めています。仕事の後輩のフリをするのは完全に終わりにしました。仕事でも、生涯のパートナーとしても、僕があなたを絶対に引き上げます」
「……っ、もう! 佐久間君のそういう、男らしくて濁りのない直球、本当にズルいわ……」
寡黙な佐久間が口にした、一切の妥協のない情熱的な誓い。ヤヨイは驚きに丸眼鏡の奥の瞳を潤ませ、それから、愛おしさを隠すようにして優しく微笑んだ。池の中を優しく泳ぐ色鮮やかな錦鯉たちが、二人の新しい絆の結実を静かに祝福しているようだった。
第4章:山頂の風と、次なる季節への焔
「(大興奮の小声で)まゆみさん、聞いた!? 千日詣りの功徳を『お前の未来に全部賭ける』って……蒼井先輩、男前すぎて鳥肌立ったよ!」
「(大興奮の小声で)ね! 佐久間さんのプロデューサー宣言もガツンときた! 愛宕神社の夏の熱気が、4人の恋の焔を完全に爆発させてるよね。この熱い余韻、SNSのドラフトに最高熱量で下書きしちゃおう!」
境内をのんびり歩く白い看板猫の姿を遠目に眺めながら、新人ADの近藤とまゆみも、先輩たちの熱い仕事へのプライドと、ガツンと深まった絆を誇らしそうにノートに書き留めていた。
「よし、チームケロ! 愛宕神社の夏ロケ、これ以上ない最高のカットが押さえたぞ。一度機材を撤収して、次は秋の黄金色の決戦に向けて、プロのミーティングを始めるぞ!」
蒼井の力強い声が、セミの鳴き声が響く夏の境内に心地よく通った。チーコはカメラバッグをしっかりと背負い直し、満面の笑みで答えた。
「はい! 先輩の隣なら、どこまででも熱い頂上を目指します!」
大都会のビルの谷間にひっそりと、けれど圧倒的な勝運のパワーを湛えて佇む愛宕神社の杜は、夏の熱気のなかで本物の真実とプロとしての誇りを結んだ四人の背中を、まるで「次の場所でも、最高の表現を」と祝福するように、静かに優しく見送ってくれているようだった。
皆さんこんにちは!ADの近藤とまゆみです!
愛宕神社編の第二章、今回は夏の風物詩「千日詣り・ほおずき市」の様子をお届けしました。
今日お参りすると「千日分」の出世と勝運の功徳を授かれるという特別な二日間。
境内を埋め尽くす真っ赤なほおずきの実と、青々とした大きな茅の輪のパワーに、私たちADコンビも大興奮でした。
そんな夏の熱気のなか、チーコ先輩が「ゾーン」に入って撮影する姿は本当に痺れるほど格好よかったのですが、撮影後に蒼井先輩が「千日分の功徳を、お前と作る未来の成功に全部賭ける」とガツンと言い放った瞬間、後ろで見ていた私たちは胸キュンのあまり息が止まりそうになりました……!。
さらに、佐久間さんの「ヤヨイさんの才能の一番のプロデューサーになる」という男らしい宣言も、熱すぎて大感動でした!
チームケロの絆は、夏の愛宕山でさらに強く、熱く結ばれました!
次回は、秋の愛宕神社を象徴する、あの黄金色に染まる境内のストーリーをお届けします。
また新しい熱いドラマをお届けしますので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね!
(AD:近藤・まゆみ)