【第二部:完全プライベートデート編】
『人形町グルメフルコースと、宝船に誓う『一番の福』』
第一章:ちーこのおねだりと、完璧なデートプラン

「ねぇぇぇ〜〜〜っ! 蒼井さん! 今週末は人形町! 日本橋七福神をプライベートでゆっくりお参りして、美味しいものを最初から最後までぜ〜んぶ食べ尽くしたいの〜っ!」
ビジネス撮影の数日後。社内のリフレッシュルームで、私服のサロペットに厚手のニットを合わせたチーコが蒼井のシャツの袖を引っ張っていた。
「おい、また袖を引っ張るな。……七福神巡りは撮影で全部歩いただろ?」
「あれはお仕事だもん! つじ田の朝ラーメンもゆっくり味わえなかったし、Boeuf 彩のお肉ももっとじっくり食べたかったし、何より人形町今半のコロッケと鳴門鯛焼本舗のたい焼きを食べ歩きしながら、私服で蒼井さんと手を繋いで歩きたかったんだもん!」
「……っ。結局全部食べ物の話じゃないか……」
「食べ物だけじゃないもん! 蒼井さんとデートしたいの! 一緒に行ってくれないなら、蒼井さんの動画編集用マウスのホイール、回転焼きのミニチュアに変えちゃうからね!」
「指がベタベタしそうな嫌がらせはやめろ! ……ハァ、分かったよ、行くよ。ただし! ちゃんと俺の立てたタイムスケジュール通りについてこいよ」
「やったぁぁぁ! 蒼井さん大好き! 約束だからね!」
第二章:朝ラーメンから大混雑の小網、そしてBoeuf 彩の至福ランチ

日曜日、午前8時半。澄み切った冬晴れの人形町交差点。 私服に身を包んだ二人は、まずは約束通り『つじ田』のカウンター席へ。
「んん〜っ! 寒い朝にすするアツアツのラーメン、最高に美味しい〜っ!」
「ふっ、スープ跳ねるから紙エプロンちゃんと着けろよ(優しく着けてあげる蒼井)」
お腹を温めた二人は、午前中の参拝ルートへ。 まずは椙森神社で恵比寿神に手を合わせ、富塚の前で「宝くじ当たりますように!」と無邪気に祈るちーこ。 続いて向かった小網神社は、休日ということもあり平日以上の大混雑。長蛇の参拝列に並ぶ中、冷たい木枯らしが吹き抜けると、ちーこが思わず身を縮めた。
「うぅ……っ、小網神社様、やっぱり大人気ですごい行列だね……ちょっと寒くなってきちゃった」
すると蒼井は何も言わず、自分のコートのポケットからちーこの冷えた右手を引き寄せ、自分の温かい手でガチッと力強く包み込んだ。そのまま二人の手をコートのポケットの中へ滑り込ませる。
「あ……蒼井さん……っ?」
「じっとしてろ。こうしてれば寒くないだろ。撮影の時と違って、今日はいくら並んだって時間はたっぷりあるんだからな」
「……っ! (顔が一瞬で真っ赤になるちーこ)……うんっ! 蒼井さんの手、すっごくあったかい!」
小網神社でじっくりとお参りと銭洗いを済ませ、お昼頃に茶ノ木神社の布袋尊へ。 そして12時半、蒼井がスマートに予約していた隠れ家フレンチ『Boeuf 彩(ブッフ サイ)』へ。落ち着いた店内で、極上の肉料理を味わう。
「わあぁぁ……っ! お肉が口の中でとろけちゃう……! 蒼井さん、こんな素敵なお店見つけてくれてありがとう!」
「撮影の時から、プライベートでお前を連れてきてやりたいと思ってたんだ。美味そうに食うお前の顔が見られて良かったよ」
第三章:甘酒横丁の食べ歩きと、宝船に誓う未来

午後は水天宮の宝生弁財天、松島神社、末廣神社、そして笠間稲荷神社へ。 七社すべてを巡り終えた二人は、いよいよお楽しみの人形町食べ歩きへ繰り出した。
まずは『人形町今半 惣菜本店』へ寄り、名物の揚げたて特製コロッケを購入。
「ほら蒼井さん! 今半のコロッケ、サクサクのうちに半分こ!」
「ん、サンキュー。……やっぱり出汁の利いた牛肉の旨味が段違いだな」
続いて『鳴門鯛焼本舗 人形町店』へ。一匹ずつ丁寧に焼き上げられた天然物の鯛焼きを受け取り、湯気立つアツアツの生地を頬張る。
「外はカリッとしてて、中は粒あんがぎっしり……! 蒼井さんと半分こして食べると、美味しさが何倍にも膨らむね!」
「ふっ、口の横に小豆ついてるぞ(指でそっと拭ってあげる蒼井)」
「あ……っ(再び林檎のように赤くなるちーこ)」
二人は甘酒横丁のベンチに腰掛け、七社すべての朱印が揃った色紙と、授与所で拝受した小さな木彫りの『揃いの宝船』を並べた。
ちーこが愛おしそうに七福神の宝船を見つめていると、蒼井がその宝船をちーこの手のひらに乗せ、彼女の手ごと力強く包み込んだ。
「ちーこ。朝のラーメンから始まって、小網の行列も、美味い飯も食べ歩きも……お前と一緒に歩く時間は、何気ない一分一秒が全部俺にとっての最高の宝物だ」
蒼井は黒縁メガネの奥の瞳で、ちーこを真っ直ぐに見つめた。
「あの宝船みたいに、俺たちのチームケロの未来も、プライベートの未来も、俺がお前を乗せて最高の場所へと連れて行ってやる。一生、俺の隣で美味いもん食って笑っててくれ」
「〜〜〜〜っっっ!!??!?」
不意打ちすぎる蒼井の言葉に、ちーこの瞳から大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「な、なんで……っ! 今日はずっと美味しいもの食べて幸せだったのに、最後の最後にそんなプロポーズみたいな格好いいこと言うなんて……っ! 胸が張り裂けそうなくらい嬉しいじゃん……っ!」
「泣くなよ、鯛焼きが冷めるだろ(照れ隠しに首元まで赤くなりながら、ちーこの涙を優しく拭う蒼井)。……これからもずっと、仕事でもプライベートでも、俺の隣はお前だけの特等席だからな」
「う……うんっ! 当たり前だよぉぉぉ……っ! 蒼井さんの宝船、私、一生降りないんだからね!」
ちーこは泣き笑いの笑顔で蒼井の腕にぎゅっと抱きつき、二人は冬の温かな木漏れ日の中で固く手を結び合った。
夕暮れの人形町に灯る赤提灯と、甘酒横丁に漂う香ばしい匂い。 日本橋七福神の満願の福と『揃いの宝船』に見守られた二人の絆は、仕事でもプライベートでも決して離れることのない強さで結ばれ、どこまでも明るく、そして幸せに未来へと漕ぎ出していくのだった!