靖国神社・短編ストーリー『英霊の杜、光のバトン』

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第二章:夏(七月・みたままつりと、魂を繋ぐ黄金の光の海)

チーコと蒼井_靖国神社みたままつり

夕暮れから夜へと刻一刻と表情を変える九段下の杜。大小三万個の黄色い提灯がぽつり、ぽつりと灯り、やがて圧倒的な黄金色の光の海が参道を埋め尽くしていく。そこを行き交う浴衣姿の人々、会社帰りのスーツ姿のサラリーマン、地元の普段着の参拝客たち――。

誰もが同じ温かな光に包まれる「古くから続く日本の夏」の情景のなかで、浴衣姿のチームケロが互いをプロとして、そして一人の人間として労い(慰労)合いながら、さらに深く真摯な絆を結び合わせていく――。


第1章:黄昏の九段坂と、ポツリと灯る三万の魂

七月中旬の午後六時。九段下のなだらかな坂道を上っていく人々の波は、東京の夏特有の、ねっとりとした熱気に包まれていた。しかし、その群衆のまとう色彩は、いつものビジネス街のそれとは全く異なっていた。
華やかな大輪の華を咲かせた浴衣姿の女性たち、仕事を終えてネクタイを少し緩めたスーツ姿のサラリーマン、そして地元からふらりと涼みに来た普段着の家族連れ。世代も立場も超えた人々が、吸い寄せられるように巨大な第一鳥居(大鳥居)をくぐっていく。そこには、年に一度、九段の夜空を焦がす光の祭典「みたままつり」の、独特な胸の高鳴りが満ちあふれていた。

「ふはぁぁ……っ! 先輩、見てください! 提灯に明かりが灯りました……! 参道全体がブワッと黄金色の光に包まれていきます……!」

チーコは藍色の落ち着いた浴衣の袖を揺らしながら、嬉しそうに声を弾ませた。彼女の視線の先では、参道の両脇をどこまでも埋め尽くす大小三万個の黄色い提灯に、夕闇の訪れとともにポツリ、ポツリと温かな明かりが宿り始めていた。夜への時間を一歩進めるごとに、硬質だった神域の空気は、息を呑むほどに優しく幻想的な「黄金色の光の海」へと姿を変えていく。

「ああ、本当に見事な景色だな。……チーコ、今日は仕事のロケではあるけれど、お前たちのこれまでの頑張りを労う『慰労』の日でもあるんだ。今日くらいは下駄の足元に気をつけて、少し肩の力を抜けよ」

黒のシックな浴衣を端正に着こなした蒼井が、愛用のシネマカメラをホールドしながら、少し低い、けれど最高に優しい声で振り返った。映像に対して常にストイックな彼の横顔が、提灯の柔らかな光に照らされて、いつもよりずっと大人っぽく、頼もしく見える。

「あ……先輩、ありがとうございます。着物姿の先輩、すごく格好いいです……。よし、この光の波の向こうで、古くから続く日本の本当の夏が弾ける、最高の瞬間から撮影スタートです!」

すぅ、と夜風に混ざる露店の香りを胸いっぱいに吸い込んだ瞬間、チーコの瞳にプロの「ゾーン」が覚醒した。
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャ……!
浴衣の擦れる音、スーツ姿で熱心に手を合わせる人々の横顔、そして夜の闇を黄金色に染め上げる提灯の陰影。チーコは慣れない下駄を物ともせず、美しいライティングの瞬間を完璧な構図で切り取っていく。蒼井はチーコの重いバッグを片手で支え、群衆の波から彼女を完全に守る盾になりながら、その凜とした、美しくも職人としてのプライドに満ちた横顔をシネマカメラのレンズで捉え続けた。

第2章:さくら守のぬくもりと、陰から支える男の特等席

拝殿の前で、お互いをリスペクトし合うプロとしての最高のカットを収め終えた二人は、深く静かな社殿の脇へと移動し、心地よい夏の夜風に吹かれていた。

「ふぅ……! 先輩、完璧な絵が押さえられました。本当に、浴衣の人もスーツの人も、みんな同じ優しい光に照らされていて、なんだか胸の奥がじーんと温かくなりますね」

液晶画面を見せてくるチーコの指先は、カメラのホールドで少し赤くなっていた。

「お疲れ様、チーコ。ほら、慣れない下駄で足が痛むだろ。これ、お前に」

蒼井はそう言うと、自身の着物の袖口から、新しく授与されたばかりの『さくら守』をそっと取り出し、チーコの手のひらに重ねるように手渡した。

「先輩……っ、これ、さくら守……?」

「春に『また桜の下で会おう』って約束して散っていった先人たちの想いが、この夏の提灯になって、今の俺たちを温かく照らしてくれている。チーコ、この平和な光のなかで、お前という最高の女性に出会えた奇跡に、俺は一人の男として一生を賭けたいんだ」

蒼井はチーコの両手をガツンと力強く、けれど壊れ物を扱うように優しく包み込んだ。提灯の黄金色の光を反射する彼女の瞳を、真っ直ぐに見つめる。

「仕事のパートナーなんていう便利な言葉で自分をごまかすのは、もう完全に終わりだ。どんな季節の冷たい風が吹いても、お前の背中は俺が陰から120%支え続けてやる。仕事でも、生涯を共にするパートナーとしても、ずっと俺の隣にいろ。俺の人生の特等席は、お前だけだ」

「先輩……っ! はい、はい……っ! 黄金色の光よりも、先輩の言葉のほうがずっとずっと温かくて……。私、一生先輩の隣で、最高の福を撮り続けます……っ!」

至近距離で重なる視線。日本の夏の原風景のなかで結ばれた二人の絆は、三万個の提灯の輝きよりも強く、暖かく境内に満ちあふれていた。

第3章:冷たいラムネと、丸眼鏡の奥の涙

その頃、遊就館前の広場から聞こえる「ねぶた」の掛け声や奉納芸能の活気を遠目に眺めながら、ヤヨイは淡い藤色の浴衣の裾を揺らし、涼やかな木陰に佇んでいた。会社帰りのスーツ姿のまま、頭を深く下げて英霊たちに感謝の祈りを捧げるサラリーマンたちの背中を見つめながら、彼女の心には、言葉を扱うプロとしての深いインスピレーションが溢れかえっていた。

「はぁ……。浴衣の人も、スーツの人も、誰もがこの黄金色の光のなかで、過去の命に心からの感謝を捧げているのね。大人のビジネス街のすぐ隣に、こんなに深くて優しい、古くから続く日本の夏が残されているなんて……。言葉を紡ぐ者として、本当に胸が締め付けられるわ」

ヤヨイが細い指先で丸眼鏡の位置を直しながら、長い黒髪を涼しげなアップスタイルにした美しい首筋を少しはためかせた。その背後から、二十六歳の佐久間学が、端正な紺色の浴衣をまとい、いつもの落ち着いた佇まいで一歩前へと歩み出た。

「ヤヨイさん、お疲れ様です。みたままつりが始まった昭和22年の歴史と、3万個の提灯が持つ『みたまへの慰霊』のデータをノートに完璧にまとめてあります。ヤヨイさんのコラムは、現代を生きるすべての人たちの心に、必ず深く届きます。……それと、ヤヨイさん、これ、冷たいラムネです」

佐久間はヤヨイの細い指先に、水滴のついた冷たいラムネの瓶をそっと握らせた。そして、周囲の混雑から彼女を守るように、大きな身体で陰からそっと包み込んだ。

「え……っ、佐久間君、いつも本当にありがとう。あなたは本当に、目立たないように、でも誰よりも完璧に私を支えてくれるのね。本当に贅沢なパートナーだわ」

「ヤヨイさんが言葉の海を美しく泳げるなら、僕はいくらでも陰の盾になります。この平和な世界で出会えたヤヨイさんを、一生かけて幸せにする覚悟は、もう揺るぎません。仕事の後輩という言い訳は、もう完全に終わりにしました。僕を、あなたの人生の『生涯の主役』として、ずっと隣にいさせてください」

「……っ、もう! 佐久間君はいつも、こういう大一番でズルいくらいに真摯で、男前なんだから……」

寡黙な佐久間が口にした、一切の濁りのない誠実な誓い。ヤヨイは驚きに丸眼鏡の奥の瞳を潤ませ、それから、長い黒髪を耳にかけながら、最高に愛おしそうに微笑んだ。

「私のこれからの人生のノート、あなたという大きな盾の後ろで、温かい文字でいっぱいにさせてね、佐久間君。ずっと離さないで」

黄金色の提灯の光が優しく二人を照らし、新しい絆の結実を静かに祝福しているようだった。

第4章:最高のハッピーエンド、そして黄金色の銀杏並木へ

「(大感動の小声で)まゆみさん、見た!? 浴衣姿の先輩たちのプロポーズ、みたままつりの黄金色の光と完全に溶け合って、美しすぎて言葉が出ないよ……!」
「(大感動の小声で)ね……! スーツの人も普段着の人もみんなが笑顔のこの空間、本当に『古くから続く日本の夏』だよね。女性読者様が絶対に胸キュンして涙するこの最高のメリハリの余韻、SNSのドラフトに最高純度の言葉で書き留めとこうね!」

少し離れた場所から、新人ADの近藤とまゆみも、先輩たちの熱いプロとしてのプライドと、ガツンと深まった最高のハッピーエンドを誇らしそうにノートに書き留めていた。

「よし、チームケロ、みたままつりロケ大成功だ! 今日は最高の慰労になったな。機材をまとめたら、冷たいものでも食べにいくぞ。そして次は、あの黄金色の絨毯が美しく参道を埋め尽くす、十月の『秋季大祭・銀杏並木』の決戦に向けて、プロのミーティングを始めるぞ!」

蒼井の力強い、けれど最高に優しさに満ちた声が夏の境内に心地よく響き渡った。チーコはカメラバッグをしっかりと背負い直し、満面の笑みで答えた。

「はい! 先輩の隣なら、どこまででも熱い、新しい最高の景色を一緒に撮りに行きます!」

夜が更けるにつれて、さらに輝きを増していく三万個の提灯の光の海。過去から現在へのバトンを受け取り、新しい真実とプロとしての誇りを結んだ四人の背中を、英霊の杜は、まるで「次の場所でも、最高の表現を」と祝福するように、静かに優しく見送ってくれているようだった。

第二章 【撮影現場からAD近藤&まゆみのミニ日記】

皆さんこんにちは!ADの近藤とまゆみです!
靖国神社編の第二章、東京の夏の風物詩「みたままつり」の本格長編ストーリーをお届けしました。

夕方から夜へと時を進めるなか、参道の両脇を埋め尽くす大小3万個の黄色い提灯に一斉に明かりが灯る瞬間は、息を呑むほど幻想的な黄金色の光の海でした。
艶やかな浴衣姿の人、会社帰りのスーツ姿の人、地元の普段着の人、みんなが同じ温かい光に照らされていて、「古くから続く日本の本当の夏がここにある」と、胸がじーんと熱くなる最高のロケでした!

今回はチームケロの全員が涼やかな浴衣姿での仕事&慰労ロケだったのですが、チーコ先輩が「ゾーン」に入って切り取る光の陰影のお写真はどれも本当に格好よかったです……!
ですが、撮影後に蒼井先輩が新しく授与された『さくら守』をチーコ先輩の手に重ねて「どんな季節の風が吹いても、お前の背中は俺が陰から120%支え続ける。俺の人生の特等席はお前だけだ」とガツンと想いを伝えた瞬間、私たちADコンビ、後ろで大号泣してしまいました……!
さらに、佐久間さんの「ヤヨイさんが言葉の海を美しく泳げるなら、僕はいくらでも陰の盾になる。生涯の主役にしてほしい」という男気あふれるストレートな冷たいラムネプロポーズ(!?)にも胸キュンが止まりませんでした!

チームケロの絆は、この黄金色の光の海のなかで、最高に熱く、優しく美しく結ばれました!
次回からは、あの黄金色の絨毯が美しく参道を埋め尽くす、十月の「第三章:秋(秋季大祭・銀杏並木)」のストーリーをお届けします。
またメリハリのある、素晴らしい新しいドラマをお届けしますので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね!
(AD:近藤・まゆみ)