プロローグ:九段の空、回る歯車
中央・総武線の黄色い電車が、飯田橋へ向けて、毎日何万人もの「命」を運んでいく。
改札を抜ければ、そこは都会の冷徹なビジネスの戦場であり、同時に、古くから続く変わらぬ神域の森が広がる場所。人は誰もが、時代の荒波のなかで自分だけの「縁」を求め、傷つき、そしていつの間にか次の世代へそのバトンを渡していく。
この物語は、一年に一度、必ず巡ってくる「命のサイクル」と、その陰で誰かを守り抜こうと真摯に生きる大人たちの、一つの到達点である。
第一章:春(四月〜五月)―― ざわめく大鳥居と、新入社員の青い影

四月上旬の夕暮れ時。九段下駅から神保町へと続く交差点は、まるで押し出されるように、真新しいリクルートスーツに身を包んだ新社会人たちで埋め尽くされていた。
まだ袖口の生地が硬く、肩幅に合っていないスーツ。耳元には、どこか大学生のノリが抜けきらない軽薄で浮ついた「ざわめき」が残っている。
「いやー、研修マジできつくね?」「それな、でも同期のあの子、可愛くない?」
そんな青い声を聞き流しながら、チームケロのカメラマン・チーコは、ダッフルコートを羽織って靖国神社の巨大な第一鳥居(大鳥居)を見上げていた。
「ふはぁ……っ! 先輩、駅前は新入社員の人たちの眩しいエネルギーで爆発してましたけど、この鳥居をくぐった瞬間に、急に空気がすうっと冷たくなりますね。都会の喧騒が、全部吸い込まれていくみたい」
「ここから先は『国を安らかにする』と名付けられた神域だからな。現世の流行や喧騒とは、流れている時の重さが違うんだ。ほらチーコ、夜桜の風は油断すると芯まで冷える。撮影に夢中になってコートのボタンが外れっぱなしだぞ。ちゃんと締めろ」
三十歳を目前に控えたディレクター・蒼井が、愛用のシネマカメラを抱えたまま、チーコの前に自然な動作で立ちはだかった。そして、彼女のコートのボタンを上まで丁寧に留めていく。その指先はどこまでも優しく、彼自身の身体が、冷たい北風からチーコを守る強固な盾のようだった。
「あ……先輩、ありがとうございます。先輩が前にいてくれると、冷たい風が本当に全部止まりますね」
「お前がただ前だけを向いて最高の光を狙えるように、後ろの風を全部止めるのが俺の役目だ。いくぞ、十八時を回った。二時間だけ許された、夜桜詣の開門時間だ」
二人が神門の前に辿り着いた瞬間、漆黒の大扉のシルエットが額縁(フレーム)となり、その向こう側に、新春の光を浴びて白く浮かび上がる拝殿と、夜の闇に爛漫と咲き誇るライトアップされた夜桜が美しく切り取られていた。
「……っ! 先輩、すごいです。この大扉の影があるから、向こうの夜桜が、まるで魂を持って燃えているみたいに鮮やかに浮き上がって見えます……! 私、この二時間だけの奇跡、絶対に切り取ります!」
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャ!
ファインダーに瞳を押し当てた瞬間、チーコのまとう空気は劇的に一変した。衣服が擦れる音すら置き去りにする、プロカメラマンとしての「ゾーン」。
蒼井はチーコのカメラバッグを引き寄せ、彼女の身体が風で絶対にブレないように世界一の盾となってホールドしながら、その凜とした、美しくも職人としてのプライドに満ちた横顔をシネマカメラのレンズで捉え続けた。

その頃、本殿の少し裏手に佇む静謐な参道の片隅では、ヤヨイがノートを胸に抱きしめたまま静かに歩みを進めていた。
「はぁ……、神保町の賑やかさからほんの少し歩いただけで、こんなに重厚な命の言葉に出会うなんてね。大切な人を遺して旅立った先人たちの文字を読んだら、私の紡ぐ言葉の軽さに、丸眼鏡の奥の瞳が震えてしまうわ……」
小さく肩を震わせるヤヨイの背後から、二十六歳の佐久間学が、いつもの落ち着いた佇まいで一歩前へと歩み出た。そして、自分のジャケットの内側から温かい缶コーヒーを取り出し、ヤヨイの冷え切った指先にそっと握らせた。そのまま、彼女の小さな肩を引き寄せ、自身の胸元で温めるように包み込む。
「ヤヨイさん、そんなことはありません。過去の命が繋いでくれたこの平和な世界を、美しい言葉で後世に伝えるのが、ヤヨイさんの使命です。……それに、ヤヨイさんのその震えは、寒さのせいもあります」
「え……っ、佐久間君……!?」
「ヤヨイさんがどれだけ言葉の海で迷い、傷ついても、僕がいくらでも陰の土台になって支えます。過去から現在へ繋がれたこの世界で、僕の人生のすべてを賭けて守りたいのは、ヤヨイさん、あなただけです。僕を、一人の男として、あなたの人生の『生涯の主役』にしてください」
神門の閉門を告げる二十時の鐘の音が、夜の静寂の中に優しく響き渡る。
新入社員たちが「社会」という新しい言葉にまだ戸惑い、五月病の予感に怯えているそのすぐ傍らで、4人の絆は、二時間だけの夜桜の美しさよりも強く、暖かく結ばれ始めていた。
第二章:夏(六月〜八月)―― 水無月の大祓と、黄金色の三万の提灯
六月三十日、靖国神社の境内には、大きな「茅の輪(ちのわ)」が設置されていた。半年の間に知らず知らずのうちに身に積もった罪や穢れを祓い清める、古くから続く日本の儀式「夏越しの大祓(なごしのおおはらえ)」である。
この時期、四月に入社したばかりの新社会人たちは、徐々に「社会の荒波」という名の、最初の壁にぶつかり始めていた。理不尽な業務、慣れない人間関係、そして「学生時代の自由」がいかに恵まれていたかという現実。
ざわざわとした不安を抱える参拝客たちに混ざり、浴衣姿のチーコと蒼井が、青々とした茅の輪を静かにくぐり抜ける。
「先輩……茅の輪をくぐったら、なんだか身体がすうっと軽くなりました。新入社員の人たちが、ネットで『ハラスメント』とか『社会きつい』って呟いているのを見かけると、なんだか他人事じゃない気がして……。でも、こうして半年の垢を流して、また前を向く姿って、すごく健気で美しいですね」
「そうだな。どんなに荒波が厳しくても、こうして一度立ち止まって自分を清める場所が、日本にはずっと用意されているんだ。チーコ、今日はこれまでの頑張りを労う日でもある。お前がただ前だけを向いて輝けるように、俺はいくらでもお前の後ろで風を止めてやるよ」

そして時間は七月、みたままつりの夜へと進む。
西の空にほのかな赤みが残る夕暮れ時、参道の両脇を埋め尽くす大小三万個の黄色い提灯に、一斉にポツリ、ポツリと温かな明かりが灯り始める。
「ふはぁぁ……っ! 先輩、提灯の光が、まるで天の川みたいに押し寄せてきます……!」
浴衣を着た若い女性たち、会社帰りにネクタイを緩めてスーツ姿のまま頭を下げるサラリーマン、そして地元の人々。誰もが同じ黄金色の温かい光に照らされ、古くから続く日本の原風景がそこに出現していた。
チーコの「ゾーン」がまたしても最高出力で覚醒する。
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャ!
チーコは慣れない下駄を物ともせず、美しいライティングの瞬間を完璧な構図で切り取っていく。蒼井はチーコの重いバッグを片手で支え、彼女の身体が風で絶対にブレないように世界一の盾となってホールドしながら、その凜とした横顔をシネマカメラに焼き付けた。
撮影を終え、社殿の脇で夏の夜風に吹かれる二人。
「お疲れ様、チーコ。ほら、慣れない下駄で足が痛むだろ。これ、お前に」
蒼井はそう言うと、自身の着物の袖口から、新しく授与されたばかりの『さくら守』をそっと取り出し、チーコの手のひらに重ねるように手渡した。
「先輩……っ、これ、さくら守……?」
「春に『また桜の下で会おう』って約束して散っていった先人たちの想いが、この夏の提灯になって、今の俺たちを温かく照らしてくれている。チーコ、この平和な光のなかで、お前という最高の女性に出会えた奇跡に、俺は一生を賭けたい。仕事のパートナーとしても、生涯を共にするパートナーとしても、ずっと俺の隣にいろ。俺の人生の特等席はお前だけだ」
「先輩……っ! はい、はい……っ! 黄金色の光よりも、先輩の言葉のほうがずっとずっと温かくて……。私、一生先輩の隣で笑っています……っ!」

その頃、遊就館前の広場から聞こえるねぶたの掛け声を遠目に眺めながら、ヤヨイは冷たいラムネを佐久間から受け取っていた。
「佐久間君、いつも本当にありがとう。本当にあなたは、目立たないように、でも誰よりも完璧に私を支えてくれるのね」
「ヤヨイさんが言葉の海を美しく泳げるなら、僕はいくらでも陰の盾になります。仕事の後輩という言い訳は、もう完全に終わりにしました。僕を、あなたの人生の『生涯の主役』として、ずっと隣にいさせてください」
「……っ、もう! 佐久間君はどこまでもズルいくらいに真摯なんだから……。私の人生のノート、あなたと一緒に、温かい文字でいっぱいにさせてね」
三万個の提灯が放つ黄金色の光のなか、新社会人たちが「夏」を謳歌し、束の間の休息を得るその傍らで、4人の絆は、夏の光の海のように深く、優しく結び合わされていた。
第三章:秋(九月〜十一月)―― 順応の足音と、大参道を狂わせる黄金の吹雪
九月、十月、そして十一月。
夏を越えた新社会人たちは、徐々に二つの道へと分かれ始めていた。社会の厳しさに絶望して逃げ出すもの、そして「これが自分の生きる道だ」と自覚し、徐々にプロとしての足取りを固め、順応していくもの。
若さと、優しく包む社会の制度に守られながら、若者たちはゆっくりと「大人」へと脱皮していく。
十月中旬、秋季大祭の靖国神社。
高く澄み切った秋の空。第一鳥居から一直線に続く大参道を埋め尽くす巨大な銀杏(イチョウ)の並木は、朝、昼、夜と、光の角度によって全く異なる「三つの風景」を境内に現出させていた。
寒暖差がもたらした、最高純度の鮮やかな黄金色。突如として吹き抜けた強い北風に、何万枚ものイチョウの葉が、まるで光の吹雪のように激しく宙を舞い踊る。

「ひゃあ……っ! 先輩、すごいです……っ! イチョウの葉が、まるで黄金色の吹雪みたい……!」
チーコはダッフルコートの襟をすぼめながら、カメラを構えた。
蒼井はチーコの首元が寒そうなのを見逃さず、自身の首元に巻かれていた、シックなチャコールグレーの厚手のストールを自然な動作で外し、チーコの首元へと優しく、風を完璧に防ぐようにガチッと巻きつけてやった。
「お前がただ前だけを向いて、この圧巻の黄金の吹雪を完璧に仕留められるように、周囲の寒さを全部シャットアウトするのが俺のプロとしての誇りだ。ほら、狙っていくぞ」
ストールに残る、蒼井の確かな体温と、大人の男の匂いに包まれ、チーコの「ゾーン」が覚醒する。
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャ!
黄金の吹雪のなかで、光と影のコントラストを完璧に計算しながらダイヤルを回し、今を生きる人々の息遣いを切り取っていく。蒼井はチーコの身体が風で絶対にブレないように世界一の盾となってホールドし続けた。
夕暮れから夜へ。敷き詰められたイチョウの葉で一面の黄金色の絨毯へと姿を変えた大参道を歩く二人。
「お疲れ様、チーコ。……ほら、これをお前に」
蒼井はそう言うと、上着のポケットから、菊花紋章が施された気品ある格式高いお守り『錦守(にしきまもり)』をチーコの手のひらに重ねるように手渡した。
「国の平穏を祈るこの場所で、俺は今日、一人の男としての平穏をお前に誓う。チーコ、これから徐々に一番冷え込む冬に向かっていくけれど、どんなに激しい北風が吹いても、俺がお前の隣で全部受け止める大きな樹になってやる。この黄金の絨毯の上に、俺とお前の二人の足跡を、一生並べて刻んでいこう。俺の隣から、絶対に離さないからな」
「先輩……っ! はい、はい……っ! 先輩と一緒なら、どんなに冷たい秋風のなかでも、私、世界一温かいお写真をずっと撮り続けられます……っ!」

その隣では、佐久間が自分のジャケットの内側から温かいカイロを取り出し、ヤヨイの冷え切った細い手をそっと包み込んでいた。
「ヤヨイさんの美しい言葉が、次の冷たい冬を越えて、読者の心に確かな実りをもたらすように。僕はいくらでも陰の土台になって支え続けます。僕を、あなたの人生の『生涯の主役』として、この足跡を隣に並べさせてください」
「……っ、もう! 佐久間君はどこまでも真摯なんだから……。私のこれからの人生のノート、あなたと一緒に、黄金色の美しい足跡でいっぱいにさせてね」
新社会人たちがようやくプロとしての第一歩を踏み出し、社会の景色にその足跡を馴染ませていく秋。4人の足跡もまた、黄金色の絨毯の上に、一生消えない確かな対となって刻まれていた。
第四章:冬(十二月〜三月)―― 師走の大祓と、桜の標本木に紡ぐ未来への約束
十二月、街は一変してきらびやかなクリスマスのイベント気分に包まれ、恋人たちが巷に溢れかえっていた。新社会人たちもまた、その華やかな喧騒に身を委ね、師走の忙しさを駆け抜けていく。
そして十二月三十一日。靖国神社では「年越しの大祓」が行われ、一年のすべての穢れが清められ、神聖な静寂のなかで、新たな一年の始まりである一月一日の「元旦」の初詣を迎える。
一月上旬の夕暮れ時。九段下のビル風は牙を剥くように冷たく、大参道に並ぶ参拝客の吐く息は真っ白に染まっていた。しかし、新しい一年の平穏を祈る人々の熱気のなかで、チーコはファインダーを覗き込んでいた。
「うぅ……先輩、一月の靖国神社の風、本当に指の先まで凍りつきそうです……。でも、常夜灯の優しい光に照らされて、みんなが真剣に手を合わせている姿を見ていると、なんだか胸の奥がじんわりと熱くなります。寒さに耐えてこそ、本当のぬくもりが分かるんですね」
「ああ。冬の厳しさがあるからこそ、人は隣にいる奴の温かさに気づけるんだ。……ほらチーコ、これを持て」
蒼井が、自分のポケットの中で温めておいたカイロをチーコの手のひらに握らせ、その上から彼女の両手を優しく、力強く包み込んだ。
「お前がただ前だけを向いてシャッターを押せるなら、俺は一生、お前の生涯の盾になってやる。……でもな、チーコ。人生ってのは、これから先、何十年も長く続いていくロードムービーだ。そのなかには、今日みたいに凍えそうな冬の日も、何度も何度も訪れる。お前には、その長い旅路を一緒に歩く覚悟はあるか?」
「先輩……っ。はい! 先輩が私の風を止めてくれるなら、私、これからどんなに長い人生の冬が来ても、一生先輩の隣で、世界一温かい光を撮り続けます!」

時は静かに流れ、三月上旬。
卒業シーズンを迎え、街には袴姿の女子学生や、新しい生活に浮き足立つ若者たちの華やかでふわふわした気分が満ち溢れていた。そんな春の陽気のなか、東京の桜の開花を告げる『桜の標本木』の前に、二人は並んで佇んでいた。
枝の先を見上げれば、まだ硬く小さな蕾たちが、冷たい冬を耐え抜いた証のように、静かに生を宿して息づいている。
「先輩、見てください。この桜の標本木、まだ蕾は硬いけれど、来るべき春の準備を、目立たないようにじっと進めています。なんだか、私たちのこれまでの旅路みたいですね」
「ああ。これで全ロケが完了だな、チーコ。お前はいつも、俺の人生という名のファインダーの真ん中で、一番輝く特等席にいてくれた。……ほら、これを受け取れ」
蒼井はそう言うと、純白の生地に桜の刺繍が施された格式高い『さくら守』をチーコの手のひらにそっと重ねた。
「先人たちが『また春に会おう』と命のバトンを繋いでくれたこの桜の前で、俺は今日、神様にお前との生涯を誓った。でもな、俺たちの人生はこれからも長く、ずっと続いていく。ハッピーエンドのその先にも、いくつもの壁が立ちはだかるはずだ。だけど、どんなに長い人生の旅路でも、俺がお前の陰の盾になって、暖かい春が来るまで何度でもお前を支え抜く。一生俺の隣で、その真っ直ぐな笑顔を咲かせていてくれ」
「先輩……っ! はい、はい……っ! どんなに長い人生でも、先輩の隣なら、私、何も怖くありません! 次の新しい春も、その先の未来も、一生先輩のためだけのカメラマンになります……っ!」

その頃、標本木の木陰では、ヤヨイが佐久間から首元に優しいウールマフラーを二重に巻かれ、冷え切った細い手を包み込まれていた。
「ヤヨイさんの美しい言葉の隣には、一生僕がいますから。後輩という脇役は完全に終わりにしました。僕を、あなたの人生の『生涯の主役』として、これからもずっと隣に並ばせてください」
「……っ、もう! 佐久間君はいつもズルいくらいに真摯なんだから。……私のこれからの人生の長いノート、あなたという大きなぬくもりの後ろで、暖かい春の言葉をたくさん書き連ねていくわ。次の新しい旅も、私を離さないでね、佐久間君」
新社会人たちが「社会人1年生」としての脱皮を終え、新たな四月に向けた準備を始める三月。街にはまた、次の新社会人たちの浮ついた、青いざわめきが満ち始めようとしていた。
回る回る、一年のサイクル。その螺旋状の時の流れのなかで、6人の絆は、来るべき暖かい春の太陽のように、これ以上ないほど暖かく、確かな真実となって結ばれていた。
エピローグ:飯田橋駅の改札から、次の聖地へ
「(大感動の大号泣で)まゆみさん、見た!? 巡る季節のなかで、毎年繰り返されるこの命のサイクル……! その中で完璧に結ばれた先輩たちの物語、深すぎて胸が破裂しそうだよ……!」
「(大感動の大号泣で)ね……! 人生は続くからこそ、この変わらぬ神域のぬくもりがこんなに愛おしいんだよね。女性読者様が間違いなく人生の宝物にするこのグランドフィナーレ、SNS用に最高熱量の言葉でアップしちゃおうね!」
近藤とまゆみも、先輩たちの幸せな結末と、これから続いていく未来への一歩をノートにしっかりと書き留め、涙を拭った。
「よし、チームケロ! 靖国神社、一年を通じた全ロケ、文句なしの大成功だ! 機材をまとめたら、飯田橋の駅に向かって歩き出すぞ。俺たちの、新しい未来へのステップの始まりだ!」
蒼井の力強い、けれど最高に優しさに満ちた声が境内に響き渡る。チーコは純白の『さくら守』を大切に胸に抱き直し、満面の笑みで答えた。
「はい! 先輩の隣なら、どんなに長い人生でも、どこまででも新しい最高の景色を、一緒に撮りに行きます!」
6人はゆっくりと靖国神社の杜を後にし、飯田橋駅の改札へと向かって歩き出す。
朝、昼、夜と表情を変え、春、夏、秋、冬と巡る大参道。その背後で、過去から現在、そして未来へと紡がれる「命のバトン」を宿して佇む英霊の杜は、これからも続いていく長い人生の旅路を行く6人の背中を、「いつでも、ここに帰っておいで」と祝福するように、静かに優しく見送ってくれているようだった。
改札をくぐる6人の瞳には、次の新しい聖地への期待と、変わらぬ心のぬくもりが、どこまでも暖かくきらめいていた。
皆さんこんにちは!ADの近藤とまゆみです!
靖国神社編の集大成、一年を通じた「廻るしるべ、光のバトン」の四季連環長編小説をお届けしました。
4月の新入社員の青いざわめき、6月の茅の輪、7月のみたままつりの3万個の黄金の提灯、10月の銀杏並木の黄金の吹雪、12月の師走の大祓、そして3月の桜の標本木の蕾まで――。
毎年繰り返される1年のサイクルのなかで、社会の荒波に揉まれながら成長していく若者たちのリアルな姿を、チームケロの絆と重ね合わせた特大ボリュームでお届けしました。
極寒のなかで指を赤くしながら撮影するチーコ先輩を、蒼井先輩が自分のポケットに引き入れて温めながら、「何十年も長く続いていく長い旅路を、一緒に歩く覚悟はあるか?」と言い、純白の『さくら守』を重ねて「どんなに長い人生の冬が来ても、俺がお前の生涯の盾になってずっと支え抜く」と誓った瞬間、私たちADコンビ、後ろで大号泣してしまいました……!
さらに、佐久間さんの「ヤヨイさんの美しい言葉のために陰の土台になる。生涯の主役にしてほしい」というウールマフラーでの男気プロポーズにも胸キュンが止まりません!
チームケロの物語は、この命のバトンを繋ぐ靖国神社の四季のなかで、最高の結実を迎えました!
これですべての季節が美しく循環しましたが、私たちの神社仏閣巡りの旅はまだまだ終わりません!この長い人生のロードムービーのように、次なる新しい素晴らしい聖地での物語がここからまたスタートします!
ぜひ、次の新しい旅を楽しみに待っていてくださいね!
(AD:近藤・まゆみ)