【第二部:完全プライベートデート編】
『浅草仲見世食べ歩きと、相合傘のジンクス』
第一章:ちーこのおねだりと、私服の浅草

「ねぇぇぇ〜〜〜っ! 蒼井さん! 今週末は絶対に浅草! 浅草に連れてってよぉ〜っ!」
ビジネス撮影の数日後。打ち合わせスペースで、私服のサロペット姿のちーこが、蒼井のシャツの袖を引っ張って駄目を押していた。
「おい、また袖が伸びる。こないだ仕事で撮影に行ったばかりだろ?」
「仕事の撮影とプライベートは別! ヤヨイさんの記事にあった仲見世の『浅草みだらし団子』も食べたいし、夫婦狛犬様も仕事のカメラ抜きでじっくり見たいの! 蒼井さんと二人でデートで行きたいんだもん!」
「……っ。デ、デートとか気安く言うな……」
「だってデートだもん! 一緒に行ってくれないなら、蒼井さんのデスクのフィギュアの向き、全部逆さにしちゃうからね!」
「どんな嫌がらせだよ……。ハァ、分かったよ、負けた。ただし! 仕事の重い機材は持ってくるなよ。スマホだけだぞ」
「やったぁぁぁ! 蒼井さん大好き! 約束ね!」
第二章:仲見世食べ歩きと、夫婦狛犬の不意打ち

土曜日。秋晴れの爽やかな青空のもと、私服に身を包んだ二人は浅草の仲見世通りを歩いていた。
「見て蒼井さん! 浅草みだらし団子! 焼きたてで甘辛いタレがとろ〜りしてて、めちゃくちゃ美味しそう!」
「はいはい、買うから焦るな。……ほら、口の横にタレつくぞ」
「えへへ、美味しい〜! 蒼井さんにも一口あげる! はい、あーん!」
「……っ! 参道で『あーん』とかやるな! (と言いつつ照れながらパクッと食べる蒼井)……美味いけどさ」
人力車がカタカタと心地よい音を立てて行き交う境内に入り、二人は鳥居のすぐ横にある『夫婦狛犬(めおとこまいぬ)』の前へ。
「わあ……! 本当だ! 二体の狛犬様が、赤い相合傘の下でキュッと肩を寄せ合ってる! すごく可愛い〜っ!」
ちーこがスマホで写真をパシャパシャと撮りながら、悪戯っぽく笑った。
「ねえねえ蒼井さん! この夫婦狛犬様、相合傘の下で仲良く寄り添ってるでしょ? なんか……私と蒼井さんみたいじゃない?」
軽口のつもりでそうからかったちーこ。だが、蒼井は眼鏡の奥の瞳をすっと真面目な光に変化させ、ちーこの顔を真っ直ぐに見つめ返した。
「……『みたい』じゃなくて」
「えっ?」
「これからもずっと、お前と相合傘で寄り添って歩くつもりだけどな。文句あるか?」
「〜〜〜〜っっっ!!??!?」
不意打ちすぎる蒼井の男前発言に、ちーこの顔が一瞬で林檎のように真っ赤に染まった。
「な、ななな、なんで急にそんな格好いいこと言うの!? 胸がドッキュンって鳴って、心臓破裂するかと思ったじゃん!」
「お前がからかってくるからだろ……(照れ隠しにガシガシと頭をかく蒼井)。ほら、赤くなってないで次行くぞ。次は芋ようかん食べるんだろ」
「もうっ! 蒼井さんのツンデレ! でも……すっごく嬉しい……!」
ちーこは真っ赤な顔のまま、歩き出した蒼井のシャツの裾をギュッと掴み、幸せそうにその背中に着いて行った。
第三章:二人の福と、未来へのステップ

参拝を終えた二人は、浅草寺の賑わいを見上げながら、ベンチで温かいお茶を飲んでいた。
「佐久間さんとヤヨイさんの大人のしっとりした旅も素敵だけど……蒼井さんとこうして食べ歩いて笑う浅草も、最高に楽しかったな!」
「ああ。仕事の相棒としても、プライベートのパートナーとしても……俺たちだけの最高の浅草になったな」
蒼井はちーこの小さく温かい手をそっと包み込むと、優しく微笑んだ。
「これからの『東京福めぐり』も、仕事では最高の映像を作り、プライベートではこうしてお前と美味いもん食べて笑って過ごす。……それで文句ないだろ、ちーこ?」
「うんっ! 文句なんてあるわけないじゃん! ずっとずっと、蒼井さんの隣でカメラ構えて、一緒においしいもの食べるんだからね!」
浅草の街に響く人力車の鈴の音と、秋の澄み渡る風。 相合傘の夫婦狛犬に見守られた二人の絆は、仕事でもプライベートでも決して離れることのない強さで結ばれ、チームケロの新たな開運の旅路『東京福めぐり』へ向かって、賑やかに駆け出していくのだった!