【第二部:完全プライベートデート編】
『白蛇の戻り道と劇的な遭遇——銭洗いに誓う『一生の財産』』
第一章:ちーこのおねだりと、プライベート銭洗い作戦

「ねぇぇぇ〜〜〜っ! 蒼井さん! 今週末は絶対に蛇窪神社! お仕事じゃなくて、完全プライベートで白蛇様にお参りして、銭回しと銭洗いをやりたいの〜っ!」
ビジネス撮影の数日後。打ち合わせスペースで、私服のサロペット姿のちーこが蒼井のシャツの袖をぎゅっと引っ張っていた。
「おい、また袖を引っ張るな。……銭洗いなら、この間の仕事で散々撮っただろ?」
「あれは撮影だもん! 私のお財布のお金は洗えてないもん! ちゃんと戸越公園駅から白蛇様の戻り道を歩いて、法密稲荷様で重軽石を持ち上げて、銭回しもやって、清めたお金をお財布に入れたいんだもん! 蒼井さんと二人きりでデートしたいの!」
「……っ。金運アップに必死すぎるだろ……」
「金運だけじゃないもん! 蒼井さんと二人で八社巡りの満願デートがしたいの! 一緒に行ってくれないなら、蒼井さんの編集用キーボードの『Enterキー』だけ、押したらピヨピヨ鳴るオモチャに差し替えちゃうからね!」
「編集のテンポが狂って死ぬだろ! ……ハァ、分かったよ、行くよ。ただし! 欲張りすぎて財布の中身全部水浸しにするなよ」
「やったぁぁぁ! 蒼井さん大好き! 約束だからね!」
第二章:大原不動尊から鳥居へ——社務所前での奇跡の遭遇!

日曜日。秋の澄み切った青空のもと、私服に身を包んだ二人は東急大井町線の戸越公園駅へ。 駅を出て、白蛇様が一休みされたとされる『大原不動尊』でお参りし、住宅街に続く「白蛇様の戻り道」をのんびりと歩く。
「白蛇様が昔歩いた道を、こうして蒼井さんと私服でお散歩できるなんてロマンチックだね〜!」
「そうだな。歴史の伝承を辿って歩くのは悪くない」
蛇窪神社の白い幟旗がはためく鳥居をくぐり、敷石を踏みしめて境内へと進む。 ちょうど社務所の前を通りかかった、その時だった。
社務所の近くから、すっきりと背筋を伸ばし、圧倒的な気品と凛としたオーラを放つ長身の男性が歩いてこられた。
「……っ!?」
ちーこは思わず息を呑み、隣の蒼井の腕をぎゅっと掴んだ。
「あ、蒼井さん……! あの人……っ!」
「……! 俳優の、榎木孝明さんだ……!」
劇団四季時代から数々の名舞台や名作ドラマ、映画で人々を魅了し続ける大名優・榎木孝明さんが、静かに参拝を終え、社務所前を歩いておられたのだ。その佇まいの美しさと温かな気魄に、二人は圧倒される。
ちーこは胸の鼓動を高鳴らせながら、失礼のないよう深々と頭を下げ、思わず心からの言葉をお伝えした。
「あの……っ! 榎木さん! 私たち、劇団四季の時代からずっと舞台を拝見して応援しています……っ! これからもお身体に気をつけて頑張ってください!」
すると榎木さんは足を止め、ふっと春風のように優しく気品あふれる笑顔を浮かべ、深く穏やかな声で応えてくださった。
「ありがとうございます。応援、とても励みになりますよ。お二人も良いお参りを」
ほんの数分、鳥居をくぐった社務所の前で交わされた奇跡のやり取り。穏やかに会釈をして去っていかれたその後ろ姿を見送りながら、ちーこと蒼井は放心したように立ち尽くした。
「はぁぁぁ……っ! すごかった……! 鳥居をくぐってすぐこんな奇跡があるなんて……! なんて優しくて、神々しいオーラなの……! 感激で胸が震えて涙が出そう……っ!」
「ああ……本物の表現者が放つ空気感は次元が違うな。白蛇様の境内でお会いできるなんて、とんでもない福をいただいたな」
二人は顔を見合わせ、奇跡のような幸運に胸を熱くしたのだった。
第三章:法密稲荷の重軽石と、白蛇清水の銭洗い

大感激の余韻に包まれた二人は、本殿で天照大御神に手を合わせ、続いて法密稲荷社へ。ちーこがワクワクしながら『重軽狐石』の前に立った。
「蒼井さん見てて! 私の願い事は……『蒼井さんとこれからもずっと一緒にいられますように』!」
ちーこが両手で狐石を持ち上げると――。
「わっ! 軽っ! 蒼井さん、すっごく軽々と持ち上がったよ!」
「ふっ……当たり前だろ、そんな願い事なら神様も即答で叶えてくれるよ(照れ隠しにそっぽを向く蒼井)」
二人は微笑み合い、続いて名物の『銭回し・銭洗い所』へ。 授与所で拝受した『白蛇種銭』を金杯に乗せ、石臼の上に置いて時計回りにゆっくりと三回回す。
「一回、二回、三回……! 榎木さんにお会いできた奇跡の福も一緒に、良い方向へ回りますように!」
続いて白蛇清水の銭洗い所へ。竹ザルの中に種銭とお互いのお財布から出したお札を入れ、柄杓で清涼な清水を静かに注ぎかける。
「お札の端っこをちょこんと清めて……これで金運も清浄も完璧だね!」
「ああ。清めた種銭を持って白蛇辨財天社にお参りしよう」
辨財天社で手を合わせ、清らかな種銭をお財布の奥へ大切に納めた後、二人は木漏れ日が揺れる境内のベンチへ。
第四章:白蛇辨財天御守と、一生の財産の誓い

ちーこが清めたばかりのお財布を嬉しそうに抱きしめていると、蒼井がポケットから、授与所で密かに拝受していた純白の『白蛇辨財天御守』を取り出した。
「ほら、ちーこ。手を出せ」
「えっ……? これ、白蛇様のお守り……?」
蒼井はそのお守りをちーこの小さな手のひらに乗せると、そのまま彼女の指先ごと、自身の大きな手でガチッと力強く包み込んだ。
「あ……蒼井さん……っ?」
蒼井は黒縁メガネの奥の瞳で、ちーこを真っ直ぐに見つめた。
「銭洗いで金運を清めるのもいい。だがな、ちーこ……俺にとっての一番の宝で、一生失いたくない最大の『財産』は、金でも機材でもない。……隣でこうして一緒に笑って、最高の映像を撮ってくれる、お前自身だ」
「〜〜〜〜っっっ!!??!?」
不意打ちすぎる蒼井の告白に、ちーこの顔が一瞬で林檎のように真っ赤に染まり、目からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちた。
「な、なんで……っ! 今日は鳥居をくぐった社務所の前で榎木さんにお会いできて大感激したのに、そのあとに蒼井さんからそんな格好いいこと言われたら……胸が張り裂けちゃうじゃん……っ!」
「泣くなよ……(照れ隠しに首元まで赤くなりながら、ちーこの涙を指先で優しく拭う蒼井)。本当のこと言っただけだろ。……浅草から始まった八社巡り、お前と一緒に回れて本当に良かった。これからもずっと、仕事でもプライベートでも、俺の隣にいてくれ」
「う……うんっ! 当たり前だよぉぉぉ……っ! 蒼井さんの隣は、世界中で私だけの特等席なんだからね!」
ちーこは泣き笑いの表情で蒼井の大きな胸にぎゅっと抱きつき、二人は温かな木漏れ日の中で固く手を結び合った。
秋の蛇窪の空に広がる茜色の夕暮れと、境内に響く清らかな風鈴の音。 白蛇様の清浄と龍神様の大願成就、そして鳥居をくぐった社務所前での大名優との奇跡の邂逅に見守られた二人の絆は、仕事でもプライベートでも決して離れることのない永遠の強さで結ばれ、チームケロの未来へ向かって、どこまでも力強く、そして幸せに走り出していくのだった!