【日本橋七福神 単独巡礼・第7話(結び)】椙森神社(恵比寿神)

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【第一部:佐久間&ヤヨイ 取材短編】

『江戸三森の古社と富塚の祈り——七社満願に咲く『生涯の一等賞』』

人形町から堀留町の路地へ進むと、落ち着いた佇まいの中に凛とした風格を漂わせる椙森神社が姿を現した。 若草色の着物の袖を整え、境内に足を踏み入れたヤヨイは、手元の取材ノートを開いて感嘆の声を漏らす。

「新橋の烏森神社、神田の柳森神社と並ぶ『江戸三森(さんもり)』のひとつ、椙森神社……! 平安時代の藤原秀郷公や太田道灌公の歴史から、江戸庶民の熱気まで、この場所にギュッと凝縮されているのね」

木々模様のジャケット姿の佐久間が、ヤヨイの取材機材を預かりながら穏やかに微笑む。

「ええ。そして江戸時代、ここは幕府公認の『富くじ(現在の宝くじの起源)』興行で一番の賑わいを誇った聖地です。境内にある日本唯一の『富塚』は、庶民が夢を託した歴史の証ですね」

二人は商売繁昌・開運を司る恵比寿神に手を合わせ、続いて厳かに佇む富塚の石碑の前へ。七社すべての朱印が美しく揃った満願の色紙を広げる。

「小網様から始まって、七社すべてが神社で結ばれた日本橋七福神……本当に素晴らしい巡礼になったわね、佐久間君」

「ええ。富くじでは人々が一等賞の夢を追いましたが……僕の人生において、ヤヨイさんというかけがえのない表現者に出逢えたことこそが、一生で最高の一等賞です。これからも僕が、あなたを最高の未来へとエスコートし続けます」

佐久間の揺るぎない言葉に、ヤヨイは丸眼鏡の奥の瞳を潤ませながら、力強く頷いた。

【第二部:ちーこ&蒼井 スピンオフ・Private短編】

『富守の輝きと満願の笑顔——ふたりで漕ぎ出す宝船』

「蒼井さん見て! ここが日本橋七福神のラスト、椙森神社だよ! 宝くじの元祖の『富塚』があるんだって!」

休日の境内。私服姿のちーこは、石碑の前で両手を合わせて目を輝かせていた。

「ああ、江戸三森として名高い古社だな。富くじの収益で神社や町を直したっていう、下町の知恵と活気が詰まった場所だ」

「じゃあ私も、とびっきりの願い事しなきゃ!」

恵比寿神に手を合わせた後、蒼井は授与所で金運・大願成就の「富守(とみまもり)」をふたつ受け、ひとつをちーこの手のひらにそっと乗せた。

「ほら、ちーこ。七社満願の記念だ」

「わっ、お揃いの富守! ありがとう蒼井さん! 私ね、神様に『蒼井さんとずっと一緒に最高の景色が見られますように』ってお願いしたの!」

「……欲のないお願いだな」

「欲張りだよ? 蒼井さんと一生一緒にいるのが、私にとって世界で一番の大当たりなんだもん!」

屈託のない笑顔で答えるちーこに、蒼井は照れ隠しに小さく息をつきながら、彼女の頭を優しく撫でた。

「そうか。……なら、神様も間違いなく一等賞にしてくれるだろ」

七社の朱印が揃った色紙と、手の中の富守。冬の柔らかな夕暮れに包まれながら、ふたりは満面の笑みを交わし合い、未来へ続く新たな一歩を踏み出した。