第六章 セーラームーンの写真

一か月後。
エミリーから写真が届いた。
麻布氷川神社。
東京タワー。
麻布十番。
母親の古写真。
そして、新しく撮ったエミリー自身の写真。
メッセージには日本語で書かれていた。
《アニメと同じ場所を探す旅じゃなくなりました。母が見たかった今の東京を見る旅になりました》
チーコは何度も読み返した。
「いいね」
蒼井が言う。
「うん」
「記事に使える?」
「本人に許可取る」
「そこはしっかりしてるな」
「プロだから」
「知ってる」
チーコは少し照れた。
「蒼井って、たまに普通に褒めるよね」
「普通に褒めてるつもりだ」
「もっと分かりやすくして」
「面倒だな」
「それが駄目なの」
「何が」
「将来、奥さんに」
チーコは途中で止まった。
以前にも似たことを言った。
蒼井がこちらを見る。
「奥さんに?」
「何でもない」
「途中で止めるな」
「一般論」
「またか」
「そう」
チーコは逃げるようにカメラを持った。
「外、撮ってくる」
「一人で行くな」
「境内よ」
「それでも機材持つ」
蒼井が立ち上がった。
結局、一緒に行く。
それがいつもの形だった。