第十一章 九十年目の写真
祭礼終了後。
チーコは狛犬の前に六人を集めた。
「集合写真撮る」
「珍しいですね」
近藤君が言う。
「いつもチーコさん、撮る側だから」
まゆみさんも笑う。
「今日は自分も入る」
「どうしたんですか」
ヤヨイ。
「記録」
蒼井が少し笑った。
「誰かの影響か」
「何のこと」
三脚を立てる。
セルフタイマー。
六人が並ぶ。
左から、
佐久間、ヤヨイ。
チーコ、蒼井。
近藤君、まゆみさん。
後ろに向き合う狛犬。
「ケロは?」
近藤君。
スマートフォンを三脚の下へ置き、ビデオ通話をつなぐ。
画面にケロ。
《私はこの位置ですか》
「真ん中下」
チーコ。
《扱いが雑ですね》
「来ないのが悪い」
《バックオフィスです》
セルフタイマー。
十秒。
九。
八。
七。
「チーコ、もっと中央」
蒼井が言う。
「蒼井が寄って」
「狛犬とかぶる」
「そっちが」
「早く!」
ヤヨイが笑う。
三。
二。
一。
シャッター。
全員が微妙に動いていた。
「もう一枚」
二枚目。
今度は成功。
三枚目。
チーコが笑った瞬間、蒼井が横を見る。
そのせいで蒼井だけカメラを見ていない。
「蒼井!」
「何だ」
「カメラ見て」
「チーコが動くから」
「私のせい?」
ケロの声。
《この自然な写真が一番いいのでは》
全員が画面を見る。
「ケロがまともなこと言った」
《いつもまともです》