第七章 途切れた祭り
調査を進めると、時代が見えてきた。
昭和初期。
祭礼。
神輿。
そして戦争。
大神輿の巡行は途絶える。
町も変わる。
空襲。
社殿焼失。
人の移動。
「清一君は?」
チーコが聞く。
佐久間が資料を見る。
「同姓同名が多くて確定できません」
「学校名とか」
ヤヨイが言う。
「学籍簿は一般公開されていないので、地域資料と家系の手掛かりを探します」
近藤君とまゆみさんは、元麻布で長く暮らす高齢男性から話を聞くことになった。
「石川清一?」
男性はしばらく考えた。
「俺の親父が話してた名前かもしれない」
「どんな人でした?」
「神輿が好きな子」
全員が息を呑む。
「でも、戦争で」
男性は言葉を切った。
「疎開したって話だ」
「帰ってきた?」
「分からない」
父親は戦後、何度か、
「清坊がいたら、神輿を担ぎたかっただろう」
と言っていたという。
「清坊」
まゆみさんがメモする。
愛称まで一致する。
「写真はありますか」
近藤君が古写真を見せる。
男性は目を細めた。
「これ、たぶん清坊だ」
「分かるんですか?」
「親父のアルバムに似た子がいた」
男性は家の奥から古いアルバムを持ってきた。
町の子どもたち。
その中に、同じ顔。
裏面。
《昭和九年 清一十三歳》
「確定に近づいた」
佐久間が言った。
だが、その後の記録はない。