第六章 少年の名前
六人が合流する。
佐久間が資料を示した。
「同一人物と思われる少年が三枚の写真に写っています」
「三枚?」
チーコが身を乗り出す。
一枚目。
神輿を見ず、カメラを見る。
二枚目。
神輿の近くで何かを持つ。
三枚目。
神楽殿の前で、大人たちの作業を見ている。
「名前は?」
近藤君が聞く。
「まだ不明です」
ヤヨイが補足する。
「でも、写真の一枚に町名の札が写っています」
旧麻布の町名。
そこから地域を絞れる。
まゆみさんが言った。
「地域の人に聞いてみましょう」
近藤君もうなずく。
「古くから住んでいる方なら、家族の話で知ってるかも」
そのときケロからメッセージ。
《古い地域誌に「少年神輿手伝い組」という記述があります》
「少年神輿手伝い組?」
チーコが読む。
《正式名称ではないようです。祭礼時に子どもたちが大人の補助をしていたという回想記事》
佐久間が反応する。
「元資料、送れますか」
《送信済み》
ヤヨイがページを開く。
文章の中に、一人の少年の名前があった。
石川清一。
十三歳。
神輿が好きで、祭礼のたび神輿庫へ通っていた。
「この子?」
チーコが聞く。
「まだ断定できません」
佐久間。
「でも年代と地域は合います」
資料には短い記述が続いていた。
《清一は「大きくなったら大神輿を担ぐ」と話していた》
ヤヨイが読み上げる。
空気が変わる。
「担げたのかな」
まゆみさんが言った。
続きはなかった。